LIFE 暮らしストーリー

時間で移ろう光を愉しむ
美術館のようにミニマルで美しい住まい

東京都
Oさま邸
2026.10.23

すらりとのびる吹抜け、障子に溶け込む陽の光、時間の移ろいとともに表情豊かに変化する室内風景——まるで美術館のような静謐さとミニマルな美しさを纏う、Oさんご夫婦のお住まい。おふたりとも建築関係のお仕事に携わっていたこともあり、「いつかは自分たちで設計した家を建てたい」という想いを、ずっと温めてこられたそうです。「結婚して数年経ったタイミングで、いよいよ本格的に検討を始めました。今の土地を見つけるまでに3年以上かかりましたが、その間じっくりと間取り・デザインを固めていきました」と、あらためて家づくりのエピソードをお話しいただきました。

「とにかく自分たちが思う“カッコいい外観”にしたくて。それを損なわない前提で間取りを考えました。LDKも2階に配置したほうが広くなるのに、形状が変わってしまうということで不採用にするなど、すべて外観デザインありきで設計しました」と、並々ならぬこだわりをお持ちだったご夫婦。条件に合った土地との出会いを経て、数年越しの想いをカタチにされましたが、外観とともに大切にされたのは、いっさいの無駄を削ぎ落したシンプルなデザインと、室内の随所に生まれる光と影の演出でした。

特にどこよりも長い時間を過ごすLDKは、白を基調とした、余計な装飾のない静かな佇まいに。吹抜けの開放感、凹凸を極力なくした滑らかな水平・垂直ライン、朝から夕暮れまで注がれるやわらかな光が心身をそっと包み込み、日々の疲れを癒し深くくつろげる、特別なリラックススペースに仕上げました。

「LDKは隣家と距離がある北側に配置しましたが、それでも室内は明るく心地よいです。南方向からの光は2階ホールから吹抜けに差し込むのですが、その様子も絵になります」と、満足そうなOさん。「デザインや間取り、設備、インテリアだけではなく、光の入り方やリビングの窓から見える植栽の見え方ひとつまで、すべてイメージ通りになるように設計しました」と、たくさんの資料と細部までぎっしりと作り込まれたプランニングシートを見せてくださった奥様。優しい物腰からは想像できないほど、お住まいへの情熱が伝わってきました。

もちろん意匠性だけではなく、機能性や快適性も熟考。1階はパブリックスペースとなるLDKと、洗面室・脱衣室などのプライベートスペースとをしっかりと切り分けて構成され、ゲストは玄関からそのままLDKへ移動できる動線に。また、キッチンのカウンター収納やパントリー、階段下収納、寝室のウォークインクローゼットなど大型収納を随所に設けたので、片付けもスムーズ&スマートです。「生活感を出したくないことと、埃がたまるのが嫌なので、収納には扉をつけました」と、見映えにも配慮されました。

さらに、ソーラーサーキット工法も大きなメリットに。「当初は機械換気を採用できればくらいに思っていましたが、ソーラーサーキット工法は第1種換気『SC-SVシステム』を搭載し、そのうえ壁内に熱や湿気がこもらない二重通気も備えているのがよかったですね。今の季節(夏)は通常26.5℃設定のエアコン一台で十分涼しいです。まだ住んで間もないので、光熱費がどのくらい節約できるのか、冬は暖かいのかなど、これから体験できるのが楽しみですね。デザインも性能も、すべて含めて『いい家だなぁ』と日々実感しながら過ごしています」と、理想のお住まいを叶え、笑顔がほころぶOさんご夫婦です。

開放的な吹抜けに、ぬくもりある無垢挽き板の床や家具、シンプルかつ意匠性のある照明などで、落着きとくつろぎに満ちたLDK。立体感がありつつ、障子は壁の中に格納できるようにするなどで余計な凹凸を作らない端正な空間設計が、美術館のような静謐さのあるLDKになりました。

LDKの窓やハイサイドライトすべてに、障子を造作。組子に埃がたまらないように、両面に障子紙を張る“太鼓張り”を採用。これだけの大空間や開口部を設けていても、ソーラーサーキット工法により、一年中心地よく暮らすお住まいを実現。さらに、“太鼓張り”は障子の間に空気の層ができるので、断熱性能がさらにアップされたことを実感しているそうです。

「大好きな『Atollo』のランプを置きたくて作りました」と、奥様がこだわられたリビングのカウンターコーナー。障子で囲まれ陽の光をほのかに集めた一角は、行燈をイメージしたという奥様の想いそのままに、懐かしさと癒しのスペースに。

時の経過とともに、光と影の変化を愉しめるリビング。「木を植えた時の、窓からの景色や障子に映る木蔭まで考えて設計しています」と、細部までご夫婦のこだわりを感じられます。

「夫婦二人暮らしに馴染むコンパクトな家にしましたが、LDKはできるだけ広く見えるように工夫しました」とご夫婦のおっしゃる通り、奥行きのある吹抜けや吊戸棚のないオープンなキッチンなどで、面積以上にゆとりを感じるLDKを実現。

キッチンからはダイニングやリビング、階段までをひと目で見渡せ、ご家族やゲストの様子を見守りながら作業ができ、窓の外の景色も眺められるようにしました。

前面の木の格子と、背面のモザイクタイルの縦筋模様が、障子、吹抜けの垂直ラインと馴染むキッチンスペース。カウンター下には大容量の収納スペースを設け、雑貨や小物などのほかに、床置きエアコンも格納。生活感のでるものをすべて隠すアイデアはさすがです。

キッチンはワイドカウンターや広々とした作業スペースを確保して、機能性も重視。また、背面にはコンロと大容量の収納棚を、隣にはパントリーも設け、余計な物はすぐに片付けられるようにしています。

玄関とLDKを仕切るのは、奥様が新潟の建具会社にオーダーされた、ガラス入りの格子引き戸。縦桟が框まわりまで伸びた印象的なデザインは、キッチンカウンターの格子や窓の障子と統一感があり、空間をまとめています。

1階の吹抜けとつながり、また勾配天井でさらなる開放感に包まれた2階。あらわしの梁や柱、手摺などの木の質感が、シンプルな空間に彩を添えています。窓から零れる光がまるで水彩画のように滲む風景にも、心惹かれます。

吹抜けや階段手摺の笠木には、柔らかな手触りの桧を採用。手摺の幅よりも少し狭めることで、1階から見上げた時に笠木が見えないようにしているのも、余計な凹凸を作らないご夫婦のこだわりです。

「大谷石をどこかに使いたくて」と、階段に採り入れてさりげなく存在感をプラス。

階段を上った先に、奥行き感を創り出すホールを配置。ひとりの時間を自由に過ごせる、とっておきの場所です。クローゼットも設けたので、壁で仕切って個室にすることもできます。

オンラインミーティングの多いOさんのために、2階に書斎を設置。パブリックスペースは避け、プライベートスペースとなる書斎にお札を祀る場所を作りました。

書斎に設えた、スクエアの内窓。ご家族の気配を感じながら仕事と向き合い、合間に窓越しの景色を眺めて、ほっとひと息つける居場所です。

シックな黒い扉と清潔感のある白いタイルで、ホテルライクな雰囲気を醸し出す洗面コーナー。ワイドなカウンターや大容量の収納スペースなどを揃え、使い勝手も高めています。また、玄関からそのままつながる動線とオープンなスタイルで、帰宅後の手洗いもスムーズです。

洗面コーナーの隣は、脱衣室・浴室に。ドアはありませんが、カーテンをつけてゆるく仕切ることができるので、ご家族が入浴中でも気兼ねなく洗面コーナーを使えます。

洗面化粧台とは別に、脱衣室にもコンパクトサイズの水栓を設置。洗濯物の予洗いなどができて便利です。

真っ白な壁・扉に、ソリッドな土間や床を組み合わせたシンプルでスタリッシュな玄関。天井まで届くハイドアや格子扉、そして上がり框のシャープな真鍮の見切りも加わり、凛とした表情を描き出しています。

暗くなりがちな玄関も、ドアの袖から採光すれば明るく広々と感じられる空間に。ニッチには大谷石のカウンターを採り入れ、控えめながらも上品な趣を添えました。